» 参列のマナー » お悔やみ電報で避けるべき言葉とは?

お悔やみ電報で避けるべき言葉とは?

はじめに~お悔やみの言葉に込められた心遣い~

お悔やみの言葉は、故人を偲び、ご遺族の深い悲しみに寄り添うための大切なメッセージです。この言葉を選ぶ際には、遺族の心情を傷つけたり、不吉な出来事を連想させたりする可能性のある表現を避けることが、日本の弔事における基本的なマナーとされています。これらの避けるべき言葉は「忌み(いみ)言葉」と呼ばれます。
忌み言葉の使用は、弔電に限定されるものではありません。手紙、メール、口頭での挨拶など、お悔やみを伝えるあらゆる場面で共通して適用される規範です。この広範な適用範囲は、忌み言葉が特定の媒体に限定された形式的な規則ではなく、日本の弔事におけるコミュニケーション全体に深く根ざした普遍的な慣習であることを示しています。
弔意を伝える上で最も重要なのは、形式的な言葉遣いだけでなく、ご遺族への深い思いやりと配慮の気持ちです。言葉の選択一つで、遺族の心に寄り添うことも、意図せず傷つけてしまうこともあり得るため、細心の注意が求められます。

言葉の選択に込められた共感と予防の原則

忌み言葉が避けられる背景には、単に「悪い言葉」を使わないという表面的なルール以上の深い意味合いがあります。複数の情報源が、忌み言葉を「不幸が続く、または重なることを連想させる」あるいは「遺族を傷つける、失礼に当たる」と定義していることからも明らかです。
これは、言葉を受け取る側の感情を深く慮り、たとえ意図せずとも負の連想や追加の精神的負担を与えないようにするという、文化的な価値観が根底にあることを表しています。
遺族の悲しみをこれ以上深めないための、積極的な配慮の表れと言えるでしょう。

避けるべき「忌み言葉」の具体的な種類と代替表現

弔電において避けるべき言葉は、主に以下の四つのカテゴリに分類されます。
それぞれのカテゴリについて、具体的な例、不適切とされる理由、そして適切な言い換え表現を詳細に解説します。

不幸の繰り返しを連想させる「重ね言葉」

「重ね言葉」とは、同じ言葉を繰り返す表現や、不幸が重なること、再び不幸が訪れることを暗示する言葉を指します。弔事の場では、これらの言葉は不幸が連続することを連想させるため、最も避けるべき表現とされています 1。
具体的な例としては、「重ね重ね」「またまた」「たびたび」「返す返す」「次々」「再び」「また」「続いて」「重ねて」「追って」「いよいよ」「再三」「重々」「続く」「尚」「ますます」「迷う」などが挙げられます 。
これらに加え、「しばしば」「何度も」「段々」「色々」「わざわざ」「ときどき」「くれぐれも」「再々」「追いかける」「次に」「やがて」「なおまた」といった表現も、同様に不幸の継続や将来の発生を暗示するため、避けるべきです。
これらの言葉が不適切とされるのは、直接的な繰り返し表現だけでなく、継続や将来の発生を暗示する言葉も含まれるためです。弔事においては、不幸が単一の出来事ではなく、今後も続くかのような、いかなる示唆も避けるという、非常に繊細な言語感覚が求められます。

死や生を直接的に表現する言葉

故人の死を直接的に表現する言葉や、生々しい言い回しは、ご遺族の深い悲しみを増幅させる可能性があるため、使用を避けるべきです。代わりに、より婉曲的で丁寧な表現に置き換えることが、遺族への配慮を示すマナーとされています。
具体的には、「死亡」「死ぬ」「生きているころ」「ご存命中」「急死」「生きる」「亡くなる」「終わる」「最後」「消える」「生きていたら」「自殺・心中」といった言葉が該当します。
これらの直接的な表現を避け、婉曲表現に言い換えることは、単なる丁寧語の使用を超えた意味を持ちます。厳しい現実を直接的に突きつけず、言葉を和らげることで、遺族の心の負担を軽減しようとする文化的な傾向が日本の弔事におけるコミュニケーションには見られます。
事実の羅列よりも、感情的な配慮と柔らかな表現を優先するという深い価値観が反映されていると言えるでしょう。

不吉な音や数字、不穏な状況を連想させる言葉

不幸や不吉な出来事を連想させる音を持つ言葉や数字、あるいは縁起が悪いとされる状況を暗示する言葉も、弔電では避けるべきです 1。
具体例としては、数字の「九(く)」が「苦しむ」に、「四(し)」が「死」に通じることから、これらの数字は特に本数や金額などで使用を避けるべきとされています。例えば、「49本の花」といった表現は不適切です。
また、「とんだこと」「とんでもないこと」「めっそうもない」といった、悪いことを直接的に連想させる言葉も避けるべきです 1。さらに、「散る」「去る」「放す」「切る」「消える」「終える」「無くす」「落ちる」「忙しい」「浮かばれない」なども、不幸や縁起の悪さを暗示するため、使用を控えるべき表現です。
「四」が「死」に、「九」が「苦」に通じるという理由で避けられることは、日本語の忌み言葉が単なる意味論的なタブーに留まらず、音の響きや数字が持つ象徴的な意味合いにまで及ぶことを明確に示しています。
これは、言葉の表面的な意味だけでなく、その背後にある文化的・迷信的な連想にも細心の注意を払う必要があることを意味します。弔事におけるコミュニケーションは、論理的な正確さだけでなく、文化的な感性も深く問われる領域です。

明るすぎる言葉や祝い事に関する言葉

弔電は、故人を哀悼し、ご遺族を慰めるためのものです。そのため、「おめでとう」「祝う」「喜び」「華やか」「楽しい」「賑やか」「寿」「笑顔」といった、お祝い事や明るい未来を連想させる言葉は、場の雰囲気や遺族の心情にそぐわないため、使用を避けるべきです。
これらの言葉が避けられるのは、弔事におけるコミュニケーションが、単に不吉な言葉を避けるだけでなく、場の雰囲気や遺族の感情と「調和」することを極めて重視しているためです。
悲しみの場に不適切な明るい表現を用いることで、遺族の感情を逆撫でしたり、場の厳粛さを損なったりすることを防ぐという、深い配慮に基づいています。日本のフォーマルな場面では、感情的な一貫性とデコラムの維持が非常に重要視される文化的な特徴が表れています。
代替表現としては、「心よりお悔やみ申し上げます」「静かにお見送り申し上げます」「慎んで哀悼の意を表します」などが適切です 8。

宗教・宗派に配慮した言葉選びの重要性

故人やご遺族の信仰する宗教・宗派によって、弔電における言葉遣いは大きく異なります。弔電を送る前に、可能な限り宗教・宗派を確認することが極めて重要です。この確認は、訃報連絡の内容から推測するか、共通の知人を通じて行うことが望ましいとされます。確認が難しい場合は、特定の宗教に偏らない中立的な表現を選ぶことが無難な選択肢となります。

故人やご遺族の宗教・宗派を確認する

弔事における言葉遣いは、故人や遺族の信仰に深く根ざしています。そのため、弔電を送る前に、対象となる方の宗教・宗派を把握することが、失礼のないメッセージを送るための第一歩となります。訃報の連絡内容(例:葬儀の形式、斎場の種類)や、共通の知人を通じて情報を得るのが一般的です。もし宗教・宗派が不明な場合は、特定の信仰に言及しない、より普遍的な表現を選ぶことが賢明です。

仏教の場合の注意点と適切な表現

日本の葬儀の約9割が仏式とされており、故人が仏弟子となり浄土へ送られる儀式と位置づけられています。
避けるべき言葉: 仏教では、故人の魂が浄土にたどり着けないことを連想させる「浮かばれない」「迷う」といった言葉は避けるべきです。
また、キリスト教の「ご昇天」や神道の「御霊の平安」など、他宗教で用いられる表現も不適切とされます。
適切な表現: 「ご冥福をお祈りします」「ご逝去を悼み、心よりお悔やみ申し上げます」「ご遺族の皆様におかれましては、どうかお力落としのなきようお祈り申し上げます」「〇〇様のご成仏を心よりお祈り申し上げます」などが適切です。
浄土真宗の注意点: 仏教の中でも浄土真宗は、故人が亡くなるとすぐに仏様になると考えるため、他の宗派とは異なり「御霊前」ではなく「御仏前」または「御香典」と記載するのがマナーです 2。また、「冥福」という言葉も不適切とされる場合があります 2。

神道の場合の注意点と適切な表現

神道では、故人を家の守護神とする考え方があります。死を「穢れ(けがれ)」とみなすため、神が祀られている場所(神社)では葬儀を行わず、斎場や自宅で行われます。
避けるべき言葉: 仏教用語である「冥福」「供養」「成仏」「弔う」「仏」「合掌」などは、神道では避けるべき表現です。
適切な表現: 「御霊の安らかならんことをお祈りいたします」「御霊前」「玉串料」「御玉串料」「御神饌料」「御榊料」「ご逝去を悼み、謹んでお知らせ申し上げます」「ご家族の皆様のご平安を心よりお祈り申し上げます」などが適切です。

キリスト教の場合の注意点と適切な表現

キリスト教では、死を「終わり」ではなく「神のもとへの旅立ち」と捉え、故人の魂は神に召され永遠の命が始まると考えます。葬儀は死者ではなく神への礼拝の儀式です。
避けるべき言葉: 仏教用語である「冥福」「供養」「成仏」「合掌」などは、キリスト教では使用しません。また、仏教で行われる「ご焼香」もキリスト教では行われません。
適切な表現: 「安らかな眠りをお祈りいたします」「天国での平安をお祈りいたします」「神の御許(みもと)で安らかにお過ごしになりますように」「〇〇様のご昇天を心よりお祈り申し上げます」などが適切です。また、キリスト教では「ご遺族」ではなく「ご遺族の皆様」「〇〇様のご家族」と言い換えるのがより丁寧とされています。

無宗教の場合の注意点と適切な表現

無宗教の葬儀は、特定の宗教にとらわれない自由な形式で行われ、「自由葬」とも呼ばれます。
避けるべき言葉: 宗教色が強い「成仏」「冥福」といった言葉は、無宗教の場では避けた方が無難です。
適切な表現: 「このたびはご愁傷様でございました」「謹んでお悔やみ申し上げます」「心よりお悔やみ申し上げます」「〇〇様のご安らかな眠りをお祈りいたします」など、どの宗教にも偏らない中立的な表現が最も無難で、遺族に配慮した選択となります。

宗教・宗派の細分化された配慮が示す信仰への深い敬意

仏教、神道、キリスト教といった主要な宗教だけでなく、仏教内の「浄土真宗」といった特定の宗派に至るまで、詳細な言葉遣いの違いが指摘されています。このことは、日本の弔事マナーが、個々の信仰に対する極めて深い敬意と理解に基づいていることを示しています。単に一般的な「良い言葉」を選ぶだけでなく、故人や遺族の特定の信仰体系に合わせた言葉を選ぶことで、最大限の配慮と敬意を表現しようとする文化的な努力が反映されています。弔事におけるコミュニケーションは、単なる形式ではなく、相手の精神的基盤への深い共感と認識を伴うべきであるという考え方が根底にあります。

宗教不明時の安全策としての普遍的表現

故人や遺族の宗教が不明な場合に、「心よりお悔やみ申し上げます」や「ご安らかな眠りをお祈りいたします」といった中立的な表現を推奨していることは、日本の弔事マナーが、厳格なルール遵守と同時に、現実的な状況への柔軟な対応力も持ち合わせていることを示しています。これは、特定の宗教的知識がなくても、遺族に不快感を与えず、普遍的な弔意を伝えるための「安全な選択肢」を提供することで、マナーの目的である遺族への配慮を達成しようとする実用的なアプローチです。マナーは単なる形式ではなく、常に相手への配慮という根本的な目的のために存在するという考え方が反映されています。

お悔やみメッセージ全般におけるその他のマナー

弔電だけでなく、お悔やみの言葉を伝えるあらゆる場面において、共通して注意すべきマナーが存在します。これらのマナーは、遺族への深い配慮を示すために不可欠です。

「ご愁傷様です」の適切な使用場面

「ご愁傷様です」というフレーズは、「あなたの心の傷を心配するとともに、わたくしも悲しく思います」という意味合いを持ちます。この言葉は、対面での口頭表現としてのみ適切であり、遺族に直接会って弔意を伝える際に用いられます。
しかし、メール、LINE、弔電などの文面で使用すると、声のトーンや表情が伝わらないため、相手に誤解や不快感を与える可能性があります。特にビジネスシーンや親しくない関係の方へのメッセージでは、皮肉や軽い意味合いに受け取られる危険性があるため、避けるべきです 3。書面で弔意を伝える際は、「お悔やみ申し上げます」や「ご冥福をお祈りいたします」といった、より丁寧で汎用性の高い表現を使用することが推奨されます。

励ましの言葉を避けるべき理由と配慮

「頑張ってください」「元気を出してください」「早く忘れて」といった励ましの言葉は、たとえ善意から発せられたものであっても、遺族の深い悲しみを軽視していると受け取られたり、かえって精神的な負担をかけたりする可能性があります。
大切な人を失った直後の遺族は、すぐに立ち直ることが困難であり、無理に励まそうとすることは逆効果になりかねません。励ましの言葉を避けるべきであるという強い助言は、日本の文化における悲嘆への理解と、遺族への精神的なアプローチの繊細さを示しています。これは、悲しみの渦中にある人に対して、安易な回復を促すのではなく、まずその悲しみを認め、寄り添うことが重要であるという考え方を反映しています。
遺族の感情を軽視したり、余計なプレッシャーを与えたりすることを避けることで、真の共感を示そうとする文化的な傾向が読み取れます。遺族の気持ちに寄り添い、静かに支える姿勢が最も重要であり、励ましの言葉を伝えたい場合は、時間を置いてから慎重に行うことが大切です。

故人の死因を尋ねない、絵文字・顔文字の使用禁止

死因の不問

故人の死因を尋ねることは、遺族にとって辛い記憶を呼び起こす可能性があるため、絶対に避けるべき行為です。故人が何らかの事情で死因を伏せているケースや、辛い状況で亡くなった場合も考えられるため、遺族の心情に配慮し、この話題には触れないことがマナーです。

絵文字・顔文字の禁止

親しい間柄であっても、悲しみの場面において絵文字や顔文字の使用は不適切と判断されます。メールやLINEなど、デジタルメッセージでのやり取りにおいても、これらのカジュアルな表現は厳禁とされています。

手紙・弔電における形式的な注意点

敬語と件名

お悔やみのメッセージは、必ず丁寧な敬語を使用し、件名も「お悔やみ申し上げます」など、弔意を示す内容であることを明確にすることが重要です。

簡潔な文面

文面は簡潔かつ丁寧に、遺族の気持ちに寄り添う内容としましょう。長文は避け、要点をまとめて伝えることが望ましいです。

二重封筒の回避

「不幸が重なる」という意味合いを持つため、弔事では二重封筒ではなく単封筒を使用するのがマナーです。

句読点の不使用

弔電においては、句読点を使用しないのが通例です。
これは、句読点が文章の終わりや区切りを意味し、不幸が途切れることを嫌うという考え方に基づくとされます。

筆記具と用紙

黒のペンや筆ペンなど、フォーマルな筆記具を使用し、白い無地の便箋や封筒を選ぶことが望ましいです。香典袋などには、悲しみを表す薄墨で書くのがマナーとされています。

「追伸」の回避

「故人を追う」という意味合いを連想させるため、手紙の「追伸」は避けるべき表現です。

文面における厳粛さと形式性の重視

「ご愁傷様です」が口頭では適切だが文面では不適切とされる点、絵文字や顔文字の厳禁、そして丁寧で簡潔な表現が求められる点は、日本の弔事における書面コミュニケーションが、口頭よりも一段と高いレベルの厳粛さと形式性を要求されることを示しています。
書面では、声のトーンや表情といった非言語情報が欠如するため、誤解を招く可能性のあるカジュアルな表現や、感情の軽薄な表現を徹底的に排除し、最大限の敬意と配慮を文字で表現しようとする意図がうかがえます。これは、書面がより公式で永続的な記録と見なされる文化的背景を反映していると言えるでしょう。

まとめ~心からの弔意を伝えるために~

お悔やみの言葉を伝える上で最も重要なのは、故人を偲び、ご遺族の深い悲しみに寄り添う「思いやり」の気持ちです 11。形式や言葉遣いのルールは多岐にわたりますが、それらはすべて、この「思いやり」を適切に表現するための手段に過ぎません。真摯な気持ちが込められていれば、時に形式を超えてもその弔意は十分に伝わると考えられています。

最も大切な「思いやり」の気持ち

弔意を伝える行為は、単なる社交辞令ではなく、故人への敬意と、残された遺族への共感と支援の表明です。厳格なマナーが求められる一方で、その根底には常に相手の感情への配慮があり、真摯な気持ちがあれば、時に形式を超えてもその弔意が伝わるという、文化的な寛容性をも示唆しています。最も大切なのは、遺族の心情に寄り添い、その悲しみに静かに向き合う姿勢です。

迷った際の対処法と無理に言葉にしなくても良い場合

言葉選びに迷った際は、本報告書で詳述した忌み言葉や宗教別の注意点を参考にし、無難で中立的な表現を選ぶことが賢明です。これにより、意図しない失礼や不快感を与えるリスクを最小限に抑えることができます。
また、故人との関わりが深くない場合や、ご遺族が強い悲しみの中にあり、言葉を交わすことが難しいと判断される場合、あるいはどうしても適切な言葉が見つからない場合は、無理に言葉を発する必要はありません。そのような状況では、黙礼や香典・弔電のみで弔意を伝えることも、十分に心のこもった対応として受け止められます。
エチケットの究極の目的は、単なる形式的なルール遵守ではなく、最終的には人間的な共感と支援を伝えるための手段であるという日本の文化的な考え方がここに表れています。

おすすめの弔電が送れるサービス

電報サービスの中にはメッセージ料込みで1,000円台から送れるものも多々あります。0円台紙に比べて品質がしっかりしているため、ビジネス上で送るお悔やみ電報としても頻繁に使われています。お悔やみ電報の相場は2,000~3,000円とされており、こういった割安なサービスでもこのくらいの価格帯のものが選ばれやすいようです。3,000円程度の電報が1,040円から利用できるのがこちらのお悔やみ電報サービス、VeryCardでは、クオリティはそのままに、大幅にコストを抑えた価格でお悔やみ電報を送ることができます。14時までに申し込めば全国どこでも即日配達が可能なので、お悔やみの知らせを受けて参列できない場合にはすぐに準備しましょう。